T.Mさん

 旧来のメンバーは、思い思いに、自分にとってこの場はどういう場かを語る・・・。ビクビク、ヘコヘコ、ナンダコノヤローと、色々な顔つきをした男たちが、初めてこの部屋(メンズサポートルームのグループワーク)にやってくると、毎回、グループワークで、まったく愚直なまでに、いつも繰り返し展開される光景である。新来の男たちに、この場が自分にとってどんなところかを紹介するようにと、スタッフからオレは促される。オレは今まで色々な答え方をしてきたし、仲間の紹介も聞いてきた。「この場は信用できる・・・」そういうことのように思う。新来の中には、旧来のその言葉を信頼し、安心して早速、自分が何故ここに来たか語り始める人もいる。オレがここに来たのは随分前だ。長く通っているからって、別に“牢なぬし”になろうとは思わないが、このグループの前身「男のコミュニケーション講座」というのを受講して以来のつきあいだ。当時、DV法ができる前だった。だけどオレ的には妻への暴力に悩んでいて「これって、オレにはコミュニケーションに著しい欠陥があるってことじゃないのか」と思うようになっていた時だった。と、たまたま、ほんと、たまたま、新聞の広告で、前述の「男のコミュニケーション講座」が開催されるという記事を見て、応募したというのがきっかけだった。初回、忘れられないことがあった。風変わりな色に髪の毛を染めボヘミヤンみたいな服装-オレ的には正直そう見えた-をしたスタッフらが、報道機関に取材されていた。そして取材機材を片手に、その連中の責任者らしいあんちゃんが映像取らせてくれないかと、受講者達にあれこれ説得を始めた。「いきなり新手のコミニュケーションスキルのトレーニングかいな?」と戸惑ったが、正直不愉快だった。ここに来たことを誰にも知られたくない。ブザマな自分をみずからさらし者にし“あたしゃコミュニケーション下手ですヨ”と看板ぶら下げるみたいだ・・・。イエスマンでNOが言えないオレだった。が思い余って“自分は嫌だ”と口火を切った。今度はオレと報道機関とのやりとりになりかけた。その時、「こんなやりとりするためにここに来たんじゃない」と他の受講者のオッサンが言った。「そうそう」という人もいた。「おおっ、ここに集まった見ず知らずの男たちが、このオレを守ってくれてる!」そんな気分を味わった。初対面の場なのに、生まれて初めての“ホッと”感覚。ピンチが一気に嬉しい体験。その場の連中は見知らぬ男たち、だけど、すごく信頼できる感じになったそれから随分年月が経った。そんなこんなで暴力克服というかDVも止まり、あきらめていたが、オレら夫婦に子供ができた。子供は今でも神様からのご褒美だと思っている。・・・このあたりのことは『バタラーのための「暴力克服支援」小品集』って冊子(ORAMO発行、印刷製本イージープロ078-802-8322)に仲間がまとめてくれた。今ではグループワークで、最終回のプレゼントになっている。スタッフがオレに、ここに来てからの感想を書いてみないかと声をかけてくれた。しばらく考えて、今こうして書いてみたけど、あんまり参考にならないかも知れない。ゴメン。

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